ひと夏の星に名前をつけるなら
宙に触れた夜
その日も、夜になるのをずっと待っていた。
強い日差しに負けじと鳴く蝉も、お昼に食べたトマトの匂いも、なんだか全てが遠くの物のように感じていた。
夕方になったのでそっと外へ出る。
森の中を一歩一歩踏みしめて歩く。
どこかで「今日は来ていないかもしれない」と思っていた。
しかし、あの姿が見えた瞬間、胸の奥に明かりが灯る。
「やっぱり来たね」
彼は夕暮れの空に包まれていた。
「流星群が来てるんだって」
「…流星群?」
「うん、今夜がピークらしいよ。ここなら綺麗に見れると思って」
彼は手に持っていたレジャーシートを地面に広げた。
「良ければ座って」
「……ありがとう」
隣に座ると、夏草の香りとアルのほのかな香りが混ざる。
ここで座ったことが無いから知らなかった。
意外と草が伸びていて地面がボコボコしているのが伝わる。
少しだけ不安定だからお互い体が斜めになっていたのか、彼との距離がやけに近く感じられた。
しばらく、二人で空を見ていた。
星たちは、いつもよりはっきりと瞬いており、その間をスっと流れる光が通り過ぎた。
「……流れた」
「うん、見えたね」
「願い事、出来なかった」
「そんなにすぐ形になるものじゃないでしょ」
彼の言葉が私にとって衝撃だったと共に、ストンと腑に落ちるものがあった。
ふと隣の顔を見る。
「アルもまだ時間かかりそう?」
「……そうだね」
彼の横顔は、少しだけ寂しそうに見えた。
「いつか見つかるといいね。ちゃんと願いたくなるもの」
「……うん」
言葉が星に溶けてゆく。
果たして見つかるのだろうか。
この宇宙の塵に縋りたくなるような、切実な願い事が。
強い日差しに負けじと鳴く蝉も、お昼に食べたトマトの匂いも、なんだか全てが遠くの物のように感じていた。
夕方になったのでそっと外へ出る。
森の中を一歩一歩踏みしめて歩く。
どこかで「今日は来ていないかもしれない」と思っていた。
しかし、あの姿が見えた瞬間、胸の奥に明かりが灯る。
「やっぱり来たね」
彼は夕暮れの空に包まれていた。
「流星群が来てるんだって」
「…流星群?」
「うん、今夜がピークらしいよ。ここなら綺麗に見れると思って」
彼は手に持っていたレジャーシートを地面に広げた。
「良ければ座って」
「……ありがとう」
隣に座ると、夏草の香りとアルのほのかな香りが混ざる。
ここで座ったことが無いから知らなかった。
意外と草が伸びていて地面がボコボコしているのが伝わる。
少しだけ不安定だからお互い体が斜めになっていたのか、彼との距離がやけに近く感じられた。
しばらく、二人で空を見ていた。
星たちは、いつもよりはっきりと瞬いており、その間をスっと流れる光が通り過ぎた。
「……流れた」
「うん、見えたね」
「願い事、出来なかった」
「そんなにすぐ形になるものじゃないでしょ」
彼の言葉が私にとって衝撃だったと共に、ストンと腑に落ちるものがあった。
ふと隣の顔を見る。
「アルもまだ時間かかりそう?」
「……そうだね」
彼の横顔は、少しだけ寂しそうに見えた。
「いつか見つかるといいね。ちゃんと願いたくなるもの」
「……うん」
言葉が星に溶けてゆく。
果たして見つかるのだろうか。
この宇宙の塵に縋りたくなるような、切実な願い事が。