ひと夏の星に名前をつけるなら
ふと彼がこちらを向いた。

「ねえ、ことちゃんはいつも寂しい?」

「……分からない。寂しいのかどうかも分からない時がある」

「分かるな、それ」

彼は小さく頷いて、空を見上げた。

「じゃあ今は?……寂しい?」

私は一瞬だけ考えて、それから首を横に振った。

「ううん、寂しくない」

「そっか、良かった。僕も今は心が温かい」

そう言った彼の声は、星のように静かだった。

その瞬間、誰かと一緒にいることがこんなにもあたたかいなんて、私は初めて知った気がした。

風がそっと頬を撫でていく。

虫の声と、草の囁き、流れ星の光。
そのすべてが、今夜だけのオーケストラのようだった。

目を閉じると、彼の存在がすぐ隣にあるのがわかった。
声をかけなくても伝わる何かが、確かにここにある。

——この時間が終わらなければいいのに。

ほんの少しだけ、そう思った。
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