私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
恋する乙女っていうよりは彼氏ができて、ウキウキモード。
お店が今日は休みだったから、菜湖ちゃんに買い物を付き合わされている。
菜湖ちゃんはいつも食事をごちそうしてくれたり、プレゼントをくれる彼へのお礼選びに私を連れてきた。
一人だと何日たっても決まらないと菜湖ちゃんが言ったから。

「ねえ、望未ちゃん。勉強家な人だから、皮のブックカバーはどう?」

「菜湖ちゃんからなら、なにをあげても喜ぶんじゃないかな」

「そう?」

「うん」

落ち着いた色をした皮のブックカバーに決めたらしく、菜湖ちゃんはホッとしたようにレジに持っていった。
朝からずっとお店を回ったから、足が痛い。
そばの椅子に座ってスマホを眺めた。

「連絡がない……」

留守電にはちゃんといれたのにな。
連絡待ってますって。
スマホにもかけたけど、電源が入ってなかった。
スランプだって言っていたから、練習してるのかな。
それとも、私からの連絡が迷惑だったとか?

「おまたせ。望未ちゃん、パンケーキ食べにいこ」

「うん」

買い物に付き合ったら、お礼に菜湖ちゃんがふわふわのパンケーキをおごってくれる約束だった。
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