私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
そして、ここにスマホがあることを伝えてもらおう。

「そうしよう」

意を決してスマホを手にした。
そして、電話帳を開く。
梶井さんの電話帳はグループごとにわけられていた。

「なぜ、楽器ごとのグループ?」

ピアノ、バイオリン、チェロなど。
これはなんだろう。
私は試されているのだろうか。
この道は分かれ道。
そんな気がした。

「私ならピアノ。でも、梶井さんはチェリストだから、グループはチェロを選びます!」

ビシッと勢いよく画面をタップした。

「えーと、外国の人は無理だから」

深月(みづき)逢生(あお)と名前が書いてある。

「男の人で同じ楽器……どこかでみたことある名前―――ってクラシック界のプリンス!?」

クラシック界のプリンスと呼ばれ、アイドル並みの人気を誇る三人組の一人だ。
梶井さんと彼らは菱水(ひしみず)音大附属高校の先輩と後輩になる。
同じ楽器だし、仲がよくても不思議じゃない。
一応、私も菱水音大附属高校出身。
だけど、梶井さんや深月さんは格が違う。
< 14 / 174 >

この作品をシェア

pagetop