私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
私とは違う。
演奏を聴いただけで、それがわかってしまった。
ピアノの蓋をあけて、ぽんっと音を鳴らした。
「きてたんだね。おはよう。望未ちゃん」
キッチンから穂風さんが顔を出した。
「おはようございます」
「ピアノ、好きだね」
「はい、好きです」
天才じゃないけど、私はピアノが好き。
それだけは確かだった。
穂風さんに微笑んだ。
「いいことだよ」
そう言って、穂風さんはキッチンに戻っていった。
ピアノの前に座る。
楽しく弾きたい。
私は私のピアノを―――でも、今は梶井さんのことを思って弾く。
あの人に対して、なんだかモヤモヤとして形にならない言葉のかわりに。
ピアノの鍵盤に指を滑らせて、音を奏でる。
私は誰かが店に入ってきたことも気づかずに夢中で弾いていた。
演奏を聴いただけで、それがわかってしまった。
ピアノの蓋をあけて、ぽんっと音を鳴らした。
「きてたんだね。おはよう。望未ちゃん」
キッチンから穂風さんが顔を出した。
「おはようございます」
「ピアノ、好きだね」
「はい、好きです」
天才じゃないけど、私はピアノが好き。
それだけは確かだった。
穂風さんに微笑んだ。
「いいことだよ」
そう言って、穂風さんはキッチンに戻っていった。
ピアノの前に座る。
楽しく弾きたい。
私は私のピアノを―――でも、今は梶井さんのことを思って弾く。
あの人に対して、なんだかモヤモヤとして形にならない言葉のかわりに。
ピアノの鍵盤に指を滑らせて、音を奏でる。
私は誰かが店に入ってきたことも気づかずに夢中で弾いていた。