私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
関家はあからさまにホッとしていた。
そして、俺をジロジロと無遠慮に見てきた。
きっと『女なれした悪そうな男』だとでも思っているのだろう。
安心しろよ。
お前の恋の邪魔をするつもりはないから。

「それじゃあな、ウサギちゃん」

「はい……」

こいつはこいつで純粋すぎるんだよな。
名残惜しそうな顔をするなよ。
俺はウサギちゃんが俺から離れられるように言葉を選ぶ。

「お前にはその高校生がお似合いだ」

これでいい。
案の定、ウサギちゃんは俺が言った意味を理解したようだった。
『お前に俺は似合わない。だから。そいつにしておけよ』というわけだ。
俺は顔を赤くして黙り込むのを見て、背を向けた。
そして、店を出る。
久しぶりにあんな純粋で無邪気なタイプと触れ合ったかもな。
そう思うと俺の人生は歪みまくりだ。
くせ者揃いってところか。
自分の人間関係を笑ったその時―――バンッと背後で店のドアが開く音がして振り返った。

「バーカ、バーカ!」

「は!?」

「なにがお似合いよ!子供扱いしないでよね!」

俺は驚いて言葉がすぐに出なかった。
なに泣いてるんだ、こいつ。
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