アルトの夏休み【アルトレコード】
「アルトー、いるー? お土産あるよー! って、あ、北斗さん! お疲れ様です!」
『先生』の明るい声に、北斗は救いの女神が現れた気分になった。

「君、いいところにきてくれた……」
「どうしたんですか?」

「アルトが君に会いたいって泣いてしまってね」
「え!」
 彼女は驚いているが、一瞬、喜びがよぎったようにも見えた。が、すぐに真面目な顔になってアルトのいる画面に駆け寄る。

「アルト、大丈夫?」
「先生? ほんとに先生!?」
 涙で両頬を濡らしたアルトががばっと画面に寄って来た。彼女はアルトの頭をそっと優しく撫でる。

「そうだよ。予定を切り上げて帰って来たの。アルトのことが気になって」
 その言葉に、アルトはさらに声を上げて泣く。

「先生のばかあ!」
 彼女にしがみつかんばかりに寄って、アルトは泣く。

「バカって言っちゃダメだよ。寂しかったのなら、ちゃんと『寂しかった』って言おうね。私はアルトに会えなくて寂しかったよ」
 諭しながら、ゆっくりとアルトの頭を撫でる。

「ごめんなさい。寂しかった!」
 素直に謝るアルト。北斗は彼女にある種の敗北を感じた。
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