アルトの夏休み【アルトレコード】
『大丈夫、俺が残ってるから』
「やだ! 先生がいい!」
アルトが叫び、北斗さんはショックを受けたような顔になった。
ああ、前にもこんなことあったな……と思いながら私は言う。
「アルトはもう小さな子供じゃないんだから、きちんとお留守番できるよね? それとも小さい子と同じで先生がいないとなにもできないのかな?」
「……小さくないもん」
答える声は、小さかった。
「そうだよね。アルトはもうしっかりしてるから、だからしばらくひとりでも大丈夫って私も北斗さんも思ったの。信頼してる証拠だよ」
「信頼……」
アルトは顔を上げて私を見た。私が頷くと、そのまま北斗さんを見る。
『そうだよ、アルト。信頼に応えて、先生に立派になったところを見せてあげよう』
北斗さんがダメ押しをすると、アルトはやっと頷いた。
「わかった。だけど、戻ってきたらすぐにぼくのとこに来てよね」
「もちろん!」
私が受けあうと、やっとアルトは表情を崩して笑顔を見せてくれた。
夏季休暇はお盆と土日を合わせて11日から16日まで、6日間だった。
前日まで仕事をして、11日、私はスーツケースを引いて電車に乗り、実家に向かう。
予定では、五泊六日。前の職場はブラックでろくに帰れなかったから、ゆっくりしてくるつもりだ。
私は端末を取り出し、アルトにメールを送る。
「やだ! 先生がいい!」
アルトが叫び、北斗さんはショックを受けたような顔になった。
ああ、前にもこんなことあったな……と思いながら私は言う。
「アルトはもう小さな子供じゃないんだから、きちんとお留守番できるよね? それとも小さい子と同じで先生がいないとなにもできないのかな?」
「……小さくないもん」
答える声は、小さかった。
「そうだよね。アルトはもうしっかりしてるから、だからしばらくひとりでも大丈夫って私も北斗さんも思ったの。信頼してる証拠だよ」
「信頼……」
アルトは顔を上げて私を見た。私が頷くと、そのまま北斗さんを見る。
『そうだよ、アルト。信頼に応えて、先生に立派になったところを見せてあげよう』
北斗さんがダメ押しをすると、アルトはやっと頷いた。
「わかった。だけど、戻ってきたらすぐにぼくのとこに来てよね」
「もちろん!」
私が受けあうと、やっとアルトは表情を崩して笑顔を見せてくれた。
夏季休暇はお盆と土日を合わせて11日から16日まで、6日間だった。
前日まで仕事をして、11日、私はスーツケースを引いて電車に乗り、実家に向かう。
予定では、五泊六日。前の職場はブラックでろくに帰れなかったから、ゆっくりしてくるつもりだ。
私は端末を取り出し、アルトにメールを送る。