紅椿の契り~後宮に咲いた偽りの華~
「……今日は、逃がさない」

 首筋に舌が這い、唇が鎖骨を辿って落ちてくる。

「ま、待って……今日は、そんな……!」

「お前がどこまで嘘をつけるか――身体で確かめてやる」

 寝衣がゆっくりと剥がされる。
 冷たい夜気の中、天焉の熱が雅美を包み込んだ。

「ふっ、ぁ……や、め……!」

「“やめて”の意味を教えてやる。俺のものになるまで、俺はやめない」

 雅美の細い指を絡め取り、耳元で低く囁く。

「誰にも渡さない。過去も、嘘も、全部含めて……俺が、お前を奪う」

 心臓が焼けるほど苦しく、
 だけど、彼の言葉が胸に刺さるほど甘くて――

「私……本当に、嘘を突き通せるのかな……」

「嘘なら、俺が信じさせてやる」

 それは、帝の支配でありながら、
 どこか……唯一、雅美の“弱さ”を抱きしめてくれる声だった。

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