アルト、将来の夢を語る【アルトレコード】
「がんばったね」
「ええ、アルトはすごいがんばってくれました。本当にうれしいです!」
「アルトもだけど、君もね」
言われた私はきょとんとしてしまった。
「がんばったでしょ? 黙って待つって、けっこう苦しいよね」
私はようやく気付いてはっとした。
指導者として、アルトだけではなく私の成長も待ってくれていたんだ。だからあのとき、あえてドライに対応したのだろう。
「……ありがとうございます!」
私は深々と頭を下げた。かわいた涙がまたあふれそうで、必死にこらえた。
***
夜。
自分の研究室でパソコンに指を滑らせていた北斗は、ピコン、とブレスレット型の端末が鳴ったのを見てスイッチを押す。
空中にウィンドウが投影され、掲示板が表示された。
『なんでも育児相談板』というスレッドだ。
『二週間くらい前だったと思いますが、子どもがeスポーツ選手を目指しているけどどうしようかと相談した者です。あのときはみなさまアドバイスありがとうございました。とくに『本人の力や成長を信じてみたら』っておっしゃられた言葉がずしんと心に響きました。彼と話してみたところ、彼は現状を受け入れて、新たな道を自分で作ると言ってくれました。嬉しくてお礼を言いに来てしまいました。あのときは本当にありがとうございました!』
そのコメントに、よかったね、おめでとう、などの言葉が次々と寄せられている。
北斗はふふっと笑みをこぼした。
『お役に立てたようでよかったです。これからも頑張ってくださいね。応援しています』
そう入力して、北斗はスレッドを閉じた。
「やれやれ、これからも大変そうだな」
つぶやく彼の顔には、笑みが満面に浮かんでいた。
終
「ええ、アルトはすごいがんばってくれました。本当にうれしいです!」
「アルトもだけど、君もね」
言われた私はきょとんとしてしまった。
「がんばったでしょ? 黙って待つって、けっこう苦しいよね」
私はようやく気付いてはっとした。
指導者として、アルトだけではなく私の成長も待ってくれていたんだ。だからあのとき、あえてドライに対応したのだろう。
「……ありがとうございます!」
私は深々と頭を下げた。かわいた涙がまたあふれそうで、必死にこらえた。
***
夜。
自分の研究室でパソコンに指を滑らせていた北斗は、ピコン、とブレスレット型の端末が鳴ったのを見てスイッチを押す。
空中にウィンドウが投影され、掲示板が表示された。
『なんでも育児相談板』というスレッドだ。
『二週間くらい前だったと思いますが、子どもがeスポーツ選手を目指しているけどどうしようかと相談した者です。あのときはみなさまアドバイスありがとうございました。とくに『本人の力や成長を信じてみたら』っておっしゃられた言葉がずしんと心に響きました。彼と話してみたところ、彼は現状を受け入れて、新たな道を自分で作ると言ってくれました。嬉しくてお礼を言いに来てしまいました。あのときは本当にありがとうございました!』
そのコメントに、よかったね、おめでとう、などの言葉が次々と寄せられている。
北斗はふふっと笑みをこぼした。
『お役に立てたようでよかったです。これからも頑張ってくださいね。応援しています』
そう入力して、北斗はスレッドを閉じた。
「やれやれ、これからも大変そうだな」
つぶやく彼の顔には、笑みが満面に浮かんでいた。
終


