アルト、将来の夢を語る【アルトレコード】
「義体があれば、先生がぎゅーっとしてくれるのかなって」
 小さな声で言われたそれに、私はモニターに向かって両手を伸ばした。
 精一杯心をこめて、彼の体を抱きしめるように触れる。
「先生、なんでお腹おすの!?」
 アルトがうろたえたように声を上げた。
「ごめん、抱きしめてるつもり」
 声に涙が混じらないように気を付けて、必死に私は笑顔を作る。
「もう、先生ったら。まだ続きがあるのに」
「なになに、教えて?」
「それでね、ぼく、自分で作ることにした」
「義体を?」
「ううん。AIも参加できるeスポーツの大会。すぐには無理だけど、そのためにも勉強がんばる!」
 アルトの決意表明に、私の涙の堤防が決壊した。
 そっち? とは思ったが、義体を作る方向に行かないのが、ある意味でアルトらしい。
「アルト、すごいね。立派だよ。大好きだよ!」
 言った直後、アルトが顔を真っ赤にして、だけど嬉しそうに叫ぶ。
「ぼくだって先生のこと大好きなんだから!」
「うん……ありがとう」
 私はアルトの頭を両手で撫でて、涙が零れたのを見られないようにわしゃわしゃと撫で続けた。

「……というわけで、レポートにも書きましたけど、eスポーツのことは解決しました!」
 私は北斗さんの研究室を訪ねて報告した。
 彼はにこっと笑って私を見る。。
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