転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
 殿下に続いて、まさか彼女にまで勘違いされるなど夢にも思わなかった。
 ユキリはピタリと涙を止め、素っ頓狂な声をあげた直後に勢いよく首を振る。

(ないない。あり得ないよ! 私は生涯、独身を貫くって決めているんだから……!)

 推しの彼氏に恋愛感情があるなど、勘違いされるのは心外だ。
 ユキリは間違いを正すため、事情を説明しようと試みたのだがーー。

「私はーー」
「殿下ならず、ロンド様まで手中に収めようとするつもりでしたら、そうは行きませんわよ! わたくし、あなたには絶対負けませんわ!」

 公爵令嬢はこちらに向かって宣戦布告をすると、その場を去って行った。

「ええ……?」

 誤解を解く暇もなく取り残されたユキリは、ぽかんと口を開けて困惑する。

「くそ……。また逃げられた……」
「今日は、登校初日だからね。これから3年間かけてじっくりと、わからせてやればいいだけじゃないか」
「だが……」

 その後ろで行われる、弟と殿下の不穏な会話に気づかぬまま。
 ユキリはしばらく、その場から動けなかった。
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