転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
 殿下は一体、何を言っているのだろうか? 自分に言い寄る男子学生など、現れるはずがないと言うのに……。
 ユキリは納得ができず、露骨に眉を顰めたが……。
 ここで否定したら、最悪の場合は血の雨が振る。
 それを恐れ、渋々頷く。

「わ、わかった……」
「じゃあ、お説教はここまでにしておこうかな。お休み、ユキリ。それから、ユイガも」
「俺をおまけ呼ばわりするな……」

 殿下は満足げに微笑んで覆いかぶさるのを止め、部屋を出て行った。

(なんだかなぁ……)

 ユキリは言葉に出来ぬモヤモヤとした想いを胸の内に秘めたまま、現実逃避をするように眠りについた。
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