転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
(私、これからどうなるのかな……?)
彼の婚約者となったユキリは、その事実を9月のダンスパーティーで大々的にお披露目する予定だ。
それまでは今まで通り、恋愛学園に生徒として通うことになった。
(恋ラヴァでは運命のパートナーを見つけたら、即刻恋愛学園を退学になるのに……)
なぜ自分達は今まで通り、在籍を許されているのか。
それを不思議に思いながらも、何事もなく日々を過ごす。
『教室を出る時は、つねに僕達と一緒に居て』
変化があるとすれば、マイセルやユイガが自分と一緒に居られない場合は、必ず幼馴染コンビのどちらかと行動するように厳命されたことくらいだろうか。
(2人の仲を邪魔するわけには、いかないから……!)
殿下の前では引き攣った笑みを浮かべて頷いておいたが、ロンティナが2人きりになれる機会を奪うわけにはいかない。
「ちょ、ちょっとお花を詰みに……」
「一緒に行こうか……?」
「すぐに戻るから!」
トイレと称して幼馴染カップルに気を利かせたユキリは、弟と合流するべく1人で教室を出て行った。
(ユイガはいつも、殿下と一緒にいる。だから、嫌でも顔を合わせることになっちゃう。それは気まずいけど、仕方ないよね……):
どちらにせよ、学園の外へ出る時は同じ馬車に乗るのだ。
数十分一緒にいる時間が長くなるくらいのは妥協するべきだろう。
(私と殿下は、婚約者なんだし……)
ユキリは彼を愛してはいないが……。
ロンドとティナが結ばれさえすれば、彼の想いを頑なに拒む理由がなくなる。
恐らく自分は、このまま殿下の妻として暮らすだろう。
(甘い言葉を囁かれるのは馴れないし、困惑することも多い。けど、視界に入れたくないほど大嫌いではないのが困っちゃうっていうか……)
ただ、どうしてユキリでなくてはならないのか。
その理由がうまく伝わって来ず、得体の知れない気味の悪さを抱いているだけだった。
(前世の記憶を思い出さなければ……。今とは違った未来を、歩んでいたのかな……?)
過去に想いを馳せて、すぐさまその想いをかき消す。
そもそもあの時前世を思い出さなければ、自身が人形のように無感情な少女であったことを思い出したからだ。
(殿下が私を好きになって、ルアーナ公爵令嬢の企みに気づけず、聖女としての力に覚醒しなかったら……。私は死んでいたわけで……):
現状に後悔などしている暇があるなら、ハッピーエンドに向かって歩むべき方法を見つけたほうがいい。
そう考えたユキリは無事に目当ての人物がいる教室に足を運んだのだが――。
「ユイガ、殿下……。あれ……?」
そこはがらんとしており、空き部屋と化してしまっていた。
(入れ違い……?)
ユキリはキョロキョロとあたりを見渡しながら、窓から校庭の門前に王家の紋章が刻み込まれた馬車が停車しているのを確認する。
(先に馬車に乗って、2人がやってくるのを待ったほういいかも……)
そうしてユキリは教室を出ると、昇降口に向かって歩き出したのだが――。
(あれって……)
出入り口を塞ぐように、なぜかザルツが立っていた。
正面玄関が使えないのなら、教室の窓から校舎へ出るしかない。
ユキリは靴を履いて、踵を返そうとした。しかし、恋愛学園の制服を脱ぎ捨て、十字架の描かれた真っ白な服に身を包む彼が神殿の神官として自分に会いに来たと気づき――。
それを無視できず、渋々足を止めた。
(1人で対峙したら、絶対にまずいやつだ……!)
ユキリは聖女ルートで何度もティナと接触し、危害を加えようと試みたり、時には彼女に愛を囁いたりしていた姿を思い出す。
彼の婚約者となったユキリは、その事実を9月のダンスパーティーで大々的にお披露目する予定だ。
それまでは今まで通り、恋愛学園に生徒として通うことになった。
(恋ラヴァでは運命のパートナーを見つけたら、即刻恋愛学園を退学になるのに……)
なぜ自分達は今まで通り、在籍を許されているのか。
それを不思議に思いながらも、何事もなく日々を過ごす。
『教室を出る時は、つねに僕達と一緒に居て』
変化があるとすれば、マイセルやユイガが自分と一緒に居られない場合は、必ず幼馴染コンビのどちらかと行動するように厳命されたことくらいだろうか。
(2人の仲を邪魔するわけには、いかないから……!)
殿下の前では引き攣った笑みを浮かべて頷いておいたが、ロンティナが2人きりになれる機会を奪うわけにはいかない。
「ちょ、ちょっとお花を詰みに……」
「一緒に行こうか……?」
「すぐに戻るから!」
トイレと称して幼馴染カップルに気を利かせたユキリは、弟と合流するべく1人で教室を出て行った。
(ユイガはいつも、殿下と一緒にいる。だから、嫌でも顔を合わせることになっちゃう。それは気まずいけど、仕方ないよね……):
どちらにせよ、学園の外へ出る時は同じ馬車に乗るのだ。
数十分一緒にいる時間が長くなるくらいのは妥協するべきだろう。
(私と殿下は、婚約者なんだし……)
ユキリは彼を愛してはいないが……。
ロンドとティナが結ばれさえすれば、彼の想いを頑なに拒む理由がなくなる。
恐らく自分は、このまま殿下の妻として暮らすだろう。
(甘い言葉を囁かれるのは馴れないし、困惑することも多い。けど、視界に入れたくないほど大嫌いではないのが困っちゃうっていうか……)
ただ、どうしてユキリでなくてはならないのか。
その理由がうまく伝わって来ず、得体の知れない気味の悪さを抱いているだけだった。
(前世の記憶を思い出さなければ……。今とは違った未来を、歩んでいたのかな……?)
過去に想いを馳せて、すぐさまその想いをかき消す。
そもそもあの時前世を思い出さなければ、自身が人形のように無感情な少女であったことを思い出したからだ。
(殿下が私を好きになって、ルアーナ公爵令嬢の企みに気づけず、聖女としての力に覚醒しなかったら……。私は死んでいたわけで……):
現状に後悔などしている暇があるなら、ハッピーエンドに向かって歩むべき方法を見つけたほうがいい。
そう考えたユキリは無事に目当ての人物がいる教室に足を運んだのだが――。
「ユイガ、殿下……。あれ……?」
そこはがらんとしており、空き部屋と化してしまっていた。
(入れ違い……?)
ユキリはキョロキョロとあたりを見渡しながら、窓から校庭の門前に王家の紋章が刻み込まれた馬車が停車しているのを確認する。
(先に馬車に乗って、2人がやってくるのを待ったほういいかも……)
そうしてユキリは教室を出ると、昇降口に向かって歩き出したのだが――。
(あれって……)
出入り口を塞ぐように、なぜかザルツが立っていた。
正面玄関が使えないのなら、教室の窓から校舎へ出るしかない。
ユキリは靴を履いて、踵を返そうとした。しかし、恋愛学園の制服を脱ぎ捨て、十字架の描かれた真っ白な服に身を包む彼が神殿の神官として自分に会いに来たと気づき――。
それを無視できず、渋々足を止めた。
(1人で対峙したら、絶対にまずいやつだ……!)
ユキリは聖女ルートで何度もティナと接触し、危害を加えようと試みたり、時には彼女に愛を囁いたりしていた姿を思い出す。