転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「神殿には一度、顔を出します」
「聖女様……!」
ザルツは感極まり、こちらの手を強引に取ろうとする。
だが、それを殿下が許すはずもない。
勢いよく叩かれた手の甲を押さえつけた彼は、自ら会場をあとにした。
「こほん。本日のパーティーは以上で終了となります」
「全員、速やかに帰宅するように」
一連の騒動で中断していたデビュタントを、再開する気にもならなかったのだろう。
教員達の号令により、生徒達は帰路につく。
(魔法の解ける時間だ……)
ユキリは水色のドレスを身に纏う童話のお姫様が、12時の鐘とともに魔法の解ける姿を思い浮かべると、マイセルからゆっくりと身体を離した。
「ユキリ」
彼と距離を取ったのを咎める声が響く。それでも殿下が手を伸ばしても届かぬ距離を縮めようと思わなかったのは……。
婚約者としてそばで庇護し続けているだけでは、心の底からマイセルを愛せないと考えたからだった。
「どこに行くつもり?」
「その気がない私を好きだと言って、愛し続けてくれたのは……。すごく、うれしかった……」
彼から背を向け、胸の内に秘めていた想いをぽつりと呟く。
「聖女様……!」
ザルツは感極まり、こちらの手を強引に取ろうとする。
だが、それを殿下が許すはずもない。
勢いよく叩かれた手の甲を押さえつけた彼は、自ら会場をあとにした。
「こほん。本日のパーティーは以上で終了となります」
「全員、速やかに帰宅するように」
一連の騒動で中断していたデビュタントを、再開する気にもならなかったのだろう。
教員達の号令により、生徒達は帰路につく。
(魔法の解ける時間だ……)
ユキリは水色のドレスを身に纏う童話のお姫様が、12時の鐘とともに魔法の解ける姿を思い浮かべると、マイセルからゆっくりと身体を離した。
「ユキリ」
彼と距離を取ったのを咎める声が響く。それでも殿下が手を伸ばしても届かぬ距離を縮めようと思わなかったのは……。
婚約者としてそばで庇護し続けているだけでは、心の底からマイセルを愛せないと考えたからだった。
「どこに行くつもり?」
「その気がない私を好きだと言って、愛し続けてくれたのは……。すごく、うれしかった……」
彼から背を向け、胸の内に秘めていた想いをぽつりと呟く。