転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「退け!」
「嫌ですっ!」
「斬り伏せられたいのか!」
「やれるものなら、やってみたら!?」

 ティナは剣の切っ先を喉元に突きつけられても、絶対にユキリを庇うのをやめなかった。

(ティナってば、なんて勇敢なの……!?)

 大好きなティナの勇姿を、間近で目にしたせいか。
 ドキドキと高鳴る胸の鼓動を抑えきれず、思わず見惚れてしまう。

「ならばお望み通り、その命を頂戴する!」

 神官達は邪魔なティナを始末する為、剣を振り上げた。

(はっ。た、大変……!)

 ユキリはその時になってやっと、妄想に耽っている場合ではないと夢から覚めた。

「ティナ……っ!」

 彼女を庇うように前へ踊り出るため、足に力を入れて立ち上がる瞬間のことだった。

「俺のティナに、何すんだよ!」

 ロンドが襲いかかってきた神官の手から剣を奪い取り――。

「姉さん!」

 軽やかな連携プレーでそれを受け取ったザルツが、彼らに刃物の切っ先を向ける。

「僕のユキリは、もう二度と奪わせない」

 そして――ユキリの腹部へ腕を回して引き寄せたマイセルは、神官達を睨みつけながらそう宣言した。
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