転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って！

「うん。残り2年、在籍してもいいって」
「よかったぁ～」

　ユキリはほっと胸を撫で下ろし、お互いが好きで堪らないと全身で言い表すロンドとティナを見つめる。

「早く私達も、あんな風に愛し合えるといいね」
「それは、ユキリ次第かな」

　どこか困ったように視線を落として彼から伝えられたユキリは、一体なんのことだと首を傾げる。
　するとマイセルは、当然のように理由を説明した。

「僕は世界で一番、ユキリを愛しているから」

　その声を耳にしたユキリは、ぽんっと顔を赤くする。
　彼の愛が、言葉では言い表しきれないほど大きいものだと自覚したからだ。

「そう、だね……。私も、もっと……。殿下が好きだって言えるように、頑張る……！」

　彼のことが好きで、誰にも奪われたくないと思うのならば、照れている場合ではない。
　この学園での生活を通じて、殿下が好きから大好き、愛しているまで順調に、育んでいく必要があるのだから。

「途中で、諦めないでね」
「わかった……」

　ユキリは彼と指先を絡め合うと、離れないように強く握りしめた。