転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
(やっと落ち着ける……)

 マイセルと2人きりになったユキリは、彼の胸元に細い身体を寄せる。
 すると、殿下の口から明るい声が紡がれた。

「今日からユキリは、未来の王太子妃兼聖女だね」
「私にそんな大役が、務まるかな……?」

 恋愛学園を卒業したあとのことは、恋ラヴァには描写されていなかった。
 ユキリ達はこれから、やっと自分だけの人生を歩むことになる。

(私達の未来が、どんなものになるかはわからないけど……)

 愛する人が一緒なら。
 どんな困難も乗り越えられると信じている。

「ユキリなら、きっと大丈夫だよ」

 それは彼も同じ気持ちのようで、満面の笑みを浮かべて微笑んだ。

「なんて言ったって、僕がついてるからね」

 自信満々なマイセルの姿を目にしたユキリは、必要以上に将来に対する不安を抱かなくていいのだと肩の力を抜いた。

「うん……!」

 いつも心優しい笑顔を浮かべているのに自信家で、腹黒い。
 そんな彼のギャップに振り回されながら、ユキリは繋いだ指先に力を込めた。

 離れないように、強く。

 恋ラヴァが終わったその先に。
 誰もが幸せに暮らせる未来が続いていることを、信じて――。
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