転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
――そこから先の話は、率先して語りたくはない。

「ユキリをぜひ婚約者にと、殿下から申し出を受けた」
「あり得ない……!」

 王城での出来事を話したところ、ユイガが地を這うような怒声を響かせて大反対したからだ。

「姉さんは大きくなったら、俺と結婚するんだ!」
「ユイガ……。それは無理だと、何度言えば……」
「毎日のように茶会を開いて令嬢達を取っ替え引っ替えする優男になど、姉さんは渡さない……!」
「これはラクア男爵家始まって以来の快挙だ。我々は受け入れるしか……」

 父はどうにか弟を説得しようと必死になっていたが、雲行きは怪しい。

(頑張れ、ユイガ……!)

 姉弟結婚こそ考えられぬものの、殿下の婚約者だけは嫌だと言う気持ちはあの申し出を受けた瞬間からずっと変わっていなかった。
 だからこそ自分と同じ気持ちの弟を心の中で応援していると、彼の口から思わぬ叫び声が紡がれた。
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