転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
 口元に人差し指を当てて微笑めば、何かに気づいたランカは驚愕で目を見開く。

「ま、まさか……! 未来予知のできる聖女とでも言うつもりですの……!?」
「そうですね。殿下に相応しいのは、聖女に選ばれた女性で……」
「では、今すぐこの場で、その身に宿る特別な力を発現なさいませ!」
「何を……」
「まさか、出来ないんですの?」

 ユキリは未来予知など使えないが、ルアーナ公爵令嬢の勘違いを正したところで話がややこしくなるだけだ。
 これ幸いと話に乗れば、彼女は証拠を見せろと騒ぎ出した。

「仰っている意味が、よくわかりません。聖女は私ではなく……」
「でしたら、無理やり引き出すまでですわ!」

 ランカはそう宣言すると、勢いよく両手を振りかぶった。

(た、叩かれる……!)

 自らの危機を悟り、痛みに備えて目を瞑る。

「姉さん!」
「ユキリ……!」

 ――ユキリを呼ぶ少年たちの声が聞こえた直後。
 不思議なことが起きた。
 前が見えないほどの眩い光があたりに満ち、自身の周りに透明な壁のようなものが張り巡らされたのだ。
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