転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「きゃあ! なんですの? これは……!」
ランカは悲鳴を上げて怯える。
その隙を逃すわけにはいかないと、強い力で後方に引っ張られたユキリは――。
「ラクア男爵! こっちです!」
ここにいるはずのない人物に声をかけられ、驚愕した。
(噂をすればなんとやらって、よく言うけど……)
まさかこんなところに、タイミングよく王太子がやってくるなど想像もしていなかった。
だからこそ、拒絶をする暇もなく彼の腕に抱かれたのだが……。
当然、その様子を目にした弟は黙ってなどいられない。
「マイセル・エンズウェイ……!」
ユイガは怒気を含ませた声とともに殿下の名を呼ぶと、鬼の形相で睨みつける。
だが、マイセルはそんな彼を笑顔でいなす。