転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
(この女が生きている限り、ティナは聖女として覚醒しませんわ……)

 ――恋ラヴァのヒロインが聖女ルートでのみ覚醒するのは、あくまで次代が生まれるまでスペアとしての活躍が期待されたからだ。
 ザルツは聖女ルートでしか攻略できない。
 そのためユキリが生き続けていれば、ティナと結ばれるのはマイセルとロンドの2択となる。

(ティナがロンドと結ばれれば、いいのですけれど……。必ずそうなる保証はありませんもの……。やはり、あの女は早いうちに始末しておきませんと……)

 すでにこの場から姿を消した男爵令嬢の姿を脳裏に思い浮かべたランカは、ほくそ笑む。

(今こそ、好機でしてよ……!)

 彼女は馬車の事故によって、両親とともに命を落としたとされている。
 今ならユイガだけが重症を負いながらも生き残り、姉の胸元に輝く青薔薇のブローチを生涯大切にしたと言う話とも矛盾しない展開を生み出せるだろう。

「今すぐラクア男爵領の家紋が入った馬車を、攻撃なさい!」
「お、お嬢様? 一体、何を……」
「これもわたくしが、殿下の婚約者となるために必要なことですの!」
「し、しかし……。殿下はラクア男爵令嬢を気にかけております。そんなことをすれば、我々がどんな罰を受けるか……!」
「成功報酬した暁には、言い値をお支払いいたしますわ」
「は、はい……!」
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