転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!

(私が必ず、ハッピーエンドに導くから……!)

 たとえ自身が原作には登場しないモブに転生したとしても、前世の記憶を持って生まれた以上は、大好きなヒロインを幸せにする義務がある。

(そろそろあの子が、姿を見せるはず……!)

 ゲーム冒頭のティナがロンドとともに校舎を眺める姿を、間近で見るチャンスは今しかなかった。
 ここは現実の世界で、セーブ機能は搭載していないのだから……。

「ユイガ! 入学式まで、もう少しだけ時間があるよね!?」
「ああ。答辞を任されたマイセルに付き合わされて、必要以上に早く着いたからな……」

 王家の紋章の入った馬車は、酷く目立つ。
 8年経ってもいまだに王城で暮らすラクア男爵家の双子は、内部的にはマイセルの食客と言うことで落ち着いたがーー。
 王族と同じ移動手段を用いる姿を見られ、貴族の反感を買っても面倒だ。
 そう判断した殿下は当初の登校時間よりも早くここにやってきた。
 そして、リハーサルに参加するためひと足早く校舎の中に入っている。

「もう少しだけ、付き合って!」
「もちろん」
< 81 / 245 >

この作品をシェア

pagetop