アルトと歩む未来【アルトレコード】
「きっと、もうひとりのアルトも同じことを言うよ」
 北斗さんの言葉に、アルトたちが頷く。

「だよね」
「そうだよな」
「……ん」
「俺も同感だ」
 次々とアルトが同意して、車内にはしばらくの沈黙が降りた。

「……もう! 北斗がしんみりするようなこと言うから!」
 アルトがかわいく口を尖らせると、北斗さんは困ったように微笑した。
「ごめん」

「だけど俺たちの兄貴だもんな」
「……だな」
「これからも兄への敬意が必要だ」
 北斗さんの謝罪に、アルトたちが言う。

「しんみりするの終わり! ねえ先生、表彰式が終わったらデザート食べにいこ。おいしそうなお店を見つけたんだ!」
「あ、ぬけがけずるいぞ!」
 アルトがかわいくおねだりをすると、オレンジの髪をゆらしてアルトが文句を言う。
「お前らなあ、先生を困らすなよ!」
 アルトが赤い目を吊り上げて文句をつける。

 わいわいと三人のアルトが盛り上がり、北斗さんと冷静なアルトとベガさんが論文について話をする。
 私は両者から話しかけられ、頭を切り替えながら答えるのが大変だ。

 だけど、すごく幸せだ。
 どうかこの幸せがずっと続きますように。
 私は心の中で祈り、アルトたちの笑顔を見つめていた。






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