響け!月夜のアジタート
トランペットの音は街中に響き渡る。その演奏で多くの人が目を覚まし、レオンハルトのようにベランダに出てきた。その様子を見てレオンハルトは微笑む。

「さすが音楽の国・トロンペーテだな」

レオンハルトが生まれ育ったこのトロンペーテ国は、他国から音楽の国と呼ばれている。人々の生活には音楽が身近にある。朝、昼、晩とトランペットなどの楽器の演奏があり、街中には誰もが自由に弾けるピアノが置かれ、オペラハウスの数も他国より多い。

「さて、朝食を食べて仕事だ」

トランペットの演奏を聴きながらレオンハルトは部屋の中に戻り、パジャマを脱いでクローゼットを開ける。白いシャツを着て青いリボンタイを結び、ワインレッドのベストを着て、その上に白いスーツを着る。

着替えをしつつ、レオンハルトは杖を取り出して呪文を唱え、一振りする。

「ポーヴァル!」

すると、杖の先から黄色の光の粒が飛び出してキッチンへと向かう。キッチンで光が弾けた。すると、冷蔵庫が勝手に開いて卵とベーコンが飛び出す。コンロの上にはフライパンが一人でに動き、トースターにはパンが入った。
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