響け!月夜のアジタート
レオンハルトはオルハンに目配せをする。彼は軽く頷いた後、口を開いた。

「信じられないけど、これが真実なんだよね。どんなに取り繕っても真実を誤魔化すことはできないんだよ」

オルハンが呪文を呟く。すると、フョードルの影の中から亡霊が姿を見せた。突然目の前にそのような存在が現れて驚かない人はいないだろう。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

フョードルが悲鳴を上げる。悲鳴を上げてから彼は口を手で押さえた。男性であるはずのフョードルの口から出た声は、間違いなく女性のものだった。会場が再び騒めく。マリヤは今度は顔を真っ青にしていた。

「こっちへおいで」

オルハンが指示を出すと、亡霊はフョードルを抱き上げる。そのまま舞台へとフョードルは連れて行かれた。

「あっ……」

戸惑った様子のフョードルにレオンハルトは近付く。フョードルがゆっくりと後ずさる。レオンハルトはフョードルに笑いかけた。

「大丈夫。私たちは君を傷付けに来たんじゃない。助けに来たんだ」
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