響け!月夜のアジタート
「すげぇ……。リズまだやるって言ってないのに準備してあったのかよ」

アントーニョが呆れた様子で言った。オルハンも苦笑している。

「マーガレットは思い立ったらすぐに行動しちゃうからね」

「でもすごいです!この衣装、曲が「僕」と「私」視点があるから二着用意してあるんですよね」

カナタが目を輝かせる。マーガレットは「そうよ!」と大きく頷いた。リズは衣装をジッと見つめている。その目には戸惑いではなく、舞台への熱があるようにレオンハルトには見えた。

「リズ、どうしたい?」

レオンハルトの問いに、リズは少し恥ずかしそうにしながらも答えた。

「私、歌ってみたいです……!」

「そうと決まれば早速撮影だね〜」

マーガレットがリズの手を掴んだ。そしてレオンハルトに指示を出し、彼は魔法を使って曲に相応わしい小道具たちを用意する。

そうして撮影されたAliceの歌が、一晩で人気アーティストと肩を並べるほどの反響を呼ぶことになるなど、この時レオンハルトたちは予想もしていなかった。

伝説の序章が、今始まる。
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