アルト、猫カフェへ行く【アルトレコード】
 その他もろもろ人件費とか設備費とかなにも考えてないなあ、とあきれるのだが、私も子どものときは同じだった。
「ねえ先生」
 呼ばれて、はっとした。なんとか猫カフェのことをごまかさないと。

「さあ、お勉強しようか!」
「先生!」

「なにがいいかなあ、音楽? 図工? 生物、好きだったよね?」
「生物にしよう。猫カフェで生物のお勉強!」

 しまった。今回はアルトが上手だった。
 私はごまかせなかったことに渋面を作り、アルトを見る。

「ダメ?」
 アルトが目をうるうるさせて私を見る。
 私はこの目に非常に弱い。アルトもわかっているようで、おねだりのときにはこのうるうる攻撃をしてくるのだ。

「……秤さんから猫のAIを借りてこようか」
 彼女の所属する第二開発室では主にペットAIを開発している。

「それじゃ勉強にならないよ。前にも見せてもらったけど、開発中だからって動きが変だったもん」

 確かに、猫にあるまじき二足歩行をしていた。そういう需要があるから、と彼女は言っていたけれど。

「猫カフェに行ってもアルトは猫に触れないよ?」
「大丈夫、先生が触ってるのを見て想像するから」
 言われて、以前に友達と行った猫カフェを思い出す。やわらかくて丸っこくて、ただただかわいかった。
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