アルト、猫カフェへ行く【アルトレコード】
「あの……」
 私は男性に声をかけた。
 男性はこちらを見たあと、威圧するように睨みつける。

「なんだよ」
「いえ、そのバッグ……」

「これがなんだ」
 威嚇するように言われ、、私はびくっとした。
 どうしよう、どういえばいいんだろう。

 私は現場を見たわけじゃない。けど、アルトが嘘をつくわけがない。

「バッグは持ち込み禁止なので……」
「あんた店員でもないのになんだよ」
 男はいらついたように言い返してくる。体はドアのほうに向いていて、今にも逃げ出しそうだ。

「そのバッグの中って……」
「あんたには関係ないだろ!」
 男は怒鳴り、私はまたびくっとした。

 店内が静まり返り、背を向けていても店中の視線がこちらに向いているのがわかる。
 男はしまった、という顔をして慌てて歩き出す。

「ま、待って、店員さん、来てください!」
 私が声を上げるが、男は構わず店を出ようとする。

「お客様、どうされましたか」
 女性店員がお客さんとの話を中断して足早にやって来くるが、男は二重ドアの手前の扉をばっと開けた。
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