白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。
両親を始め一族からの期待を一身に背負い、これ以上ないほど甘やかされてきた綾目と、霊力が弱いせいで正規の陰陽師と認められることもなく冷遇されている紫陽。今この二人が並んでいるのを見て姉妹だと言い当てることができる者は果たしてどれほどいるだろうか。
綾目は、紫陽が丁寧に手入れをしていた刀を一瞥して、わざとらしくため息をついた。
「はあ……霊力が弱いって本当に憐れよね。そんな大袈裟な道具を使わないと雑魚妖怪一匹祓えないんだもの」
「……」
「ていうか、もういい加減陰陽師は諦めたら? 大人しくどこかに嫁入りする方がお父様もお母さまも喜ぶのではないかしら。ま、こんな愛想笑いの一つもできない暗い女を欲しがる殿方がいるのかは知らないけれど」
ねえ、と綾目に同意を求められた彼女の侍女がくすくす笑いながらうなずく。
残念だが、綾目の言うことを何一つ否定できない。
紫陽は鍛錬に長い時間を費やして、どうにか剣術の腕を磨いた。もし人間同士の戦国の世であればそこそこ功績を上げたかもしれない。