白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。


 しかし対妖となると、圧倒的な量の霊力のみで戦う綾目が紫陽の何倍も強い。刀を使った紫陽の戦い方はどうしても刃の届く範囲まで敵と間合いを詰めなくてはならず、霊力で遠距離からの攻撃が可能な他の陰陽師に比べてはるかに戦い方が制限されるのも理由の一つだ。


(そして暗い女というのもまた事実だし)


 紫陽は静かに目を伏せて気付かれないようにため息をついた。

 もともと感情表現は苦手だ。それに加えて、幼い頃から、両親にぶつけられる言葉から心を守ろうとしていたせいで、そもそも表現するべき感情自体芽生えにくくなっている。笑顔の作り方なんてとうに忘れてしまった。


「ま、山岡家の狸親父なんかは若い女が大好きだから姉様でも喜んで妾に迎えてくれるんじゃないかしら。あそこお金だけはあるし、きっと姉様にちょうどいいわ」

「……」

「あらだんまり? せっかくあたしが姉様のためを思って提案してあげてるのだからお礼ぐらい言ったらいいのに。ねえ(まつ)

「本当ですわね綾目様。こんな出来損ないの姉君のことを気遣われるなんて綾目様は本当にお優しい」



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