白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。
綾目の侍女は大袈裟にうなずいて、見下した目を紫陽に向ける。
その後も二人は紫陽に対して散々嫌味やら何やらをぶつけ続けてきた。紫陽は内心そこそこ傷つきはしたものの、全く表情に出ないせいで反応を見ても面白みがなく、次第に飽きてきたらしい。
「嫌だわ。姉様のせいで貴重な時間を無駄に過ごしてしまったわ。松、行きましょ」
「はい、綾目様」
「ああそうだ」
そのまま部屋を出ようとした綾目は、直前で何かを思い出したように足を止めて振り返る。
「さっき父様が姉様のことを呼んでいたわよ。なかなか来ないものだから今頃お怒りじゃないかしら」
……そういうことはさっさと教えてもらいたかった。もちろんわざと教えなかったのだろうが。
相変わらずキンキン響く綾目の笑い声が、離れの廊下を徐々に遠ざかっていった。