白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。
「何度言ったらわかる。蛮族のように鉄の塊を振り回して妖を祓うなど、誇り高き涼風家の人間がやることではない。他家の陰陽師のいい笑いものだ」
「……どのような方法であれ、大切なのは人々を守ることができるかどうかではないかと」
「黙りなさい紫陽! お前はいつから口答えするほど偉くなったの!?」
癇癪を起こしたような母の声に言葉を遮られ、紫陽はまた「申し訳ありません」と頭を下げる。両親相手に自分の思いを語ろうなんてどうかしていた。
そんな紫陽を見て、父は何故か、少しだけ口角を上げた。
「紫陽。お前はそれほどまでに陰陽師として認められたいか?」
「……」
「まあ確かにな、お前の言うことも一理ある。たとえ野蛮で見るに堪えない戦い方であろうと、圧倒的に実力があるのならば目を瞑らねばならぬ部分もあるだろう」
何か言いたげな母を宥めるようにしながら、父は比較的穏やかな調子で問いかける。
「だが、お前は違う。実力は綾目の足元にも及ばない。違うか?」
「……その通りです」
「そんな状態では間違っても誇り高き涼風家の陰陽師と名乗らせることはできない。だがそうだな、もし万が一……」
ずいぶん勿体つけるような言い方だ。続く言葉が気になった紫陽は、恐る恐る視線を上げて父を見る。