白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。




 霊力を持つ人間──すなわち陰陽師の素質がある人間は、高確率で遺伝する。

 そのため、霊力の強い優秀な陰陽師を多く輩出し、大きな権力を持つ家が時代とともにいくつも現れるようになった。中でも、ここ数十年優秀な陰陽師を輩出し続けている涼風(すずかぜ)家は、現在その頂点に君臨している。


 ──しかし、紫陽はそんな涼風家で高い霊力量を誇る両親の間に生まれながら、まともに術を使えないような微量の霊力しか持っていない落ちこぼれだった。霊力の強さによって序列が決まる陰陽師の中では最底辺の地位。

 陰陽師界の権威である両親は、才能の無い紫陽に早々に見切りを付けていた。物心ついたときから、親から優しい言葉や笑顔を向けてもらった覚えがない。

 逆に紫陽の妹の綾目(あやめ)などは、涼風家の中でも稀に見る霊力量を誇っており、様々な術を使いこなす。将来一族の頂点に立つ陰陽師になるであろうと呼び声高い。両親の愛は、紫陽に注がれることがなかった分まで全て彼女に注がれていた。

 少しでも良いから、自分も妹のように両親から笑顔を向けてもらいたい。

 幼い頃、その一心で研究と鍛錬を重ねた紫陽は、やがてその微弱な霊力でも妖を祓う方法を編み出した。それが、剣技と霊力の融合。



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