家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「わかりました。このお話、お受け致します。」

それしか道がないのなら。

抗っても、私にはもう選べる立場などないのだ。

口にした途端、胸の奥がひどく冷えた。

まるで自分の人生が、誰かの都合で決まっていく感覚に、息が詰まった。

婚約の意思を告げると、父は「そうか」とひとことだけ呟いた。

私は静かに執務室を後にした。


廊下に出た瞬間、ちょうど妹のルシアがすれ違った。

「まあ、お姉様。なんだか浮かない顔してるわね?」

明るく笑うその顔は、陽の光を受けた陶器のようにきれいだった。

きめ細かな白い肌に、華やかなブロンドの髪。

そばかす一つない完璧な顔立ち。

私は思わず目をそらした。

今の私には、ルシアが眩しすぎる。

彼女にはすでに複数の公爵家から縁談が舞い込み、どの相手も熱心だった。

私が断られ続けた同じ世界で、妹は愛され、選ばれている。

「羨ましいわ、ルシア……」
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