家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「それにね……」

デュラン夫人は、ゆっくりと視線を私とセドリックに交互に向けながら言った。

「あなたたちは、身分をひけらかさず、私への礼を尽くす為に、話しかけるのを控えたのでしょう?それだけでもう、礼節を重んじている証拠です。そしてそれ以上に、あなたがた二人には、思いやりの心がある。」

彼女のその言葉に、セドリックが小さく頷いた。

誇らしげというよりも、感謝を噛み締めているようだった。

デュラン夫人の前で褒められることは、この上ない名誉だった。

彼女がにこやかに去った後、セドリックは私の隣でふっと息を吐き、そして誇らしげに語った。

「君を妻にしてよかった。心からそう思う。」

その声は、小さくてもまっすぐで、深い確信に満ちていた。

「礼を尽くし、場をわきまえて、それでいて誰よりも気高い。君は、僕の誇りだよ。」
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