家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして、ゆっくりと私の方へと視線を移す。

「クラリス。」

「……デュラン夫人。」

私が丁寧に礼をすると、彼女は一瞬微笑み、そして次の瞬間、私をそっと抱きしめてくれた。

その行動に、周囲の視線が一気に集まった。

だが、彼女はまったく気にする様子もない。

「あなたが、グレイバーン伯爵家に嫁いだのは知っていました。身分の違いに苦労すると思っていたけれど、あなたならやっていけると、私は確信していましたよ。」

その言葉に、胸がいっぱいになった。

私は何も言えず、ただ首を横に振るだけで精いっぱいだった。

今まで自信が持てなかった。

でも、彼女の口からそう言ってもらえることが、どれほど支えになるか。
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