家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
信じられなかった。私の妹が、王子と――? 

ルシアの方を向くと、彼女はわざとらしく小さく首をかしげた。

「そうだったかしら?あまり記憶にないわ。」

そのしらじらしい態度に、胸がざわついた。

「ルシア、本当なの?」

私が問いただすように言うと、彼女はゆっくりと微笑んだ。

「そうみたいね。」ルシアは淡々と答えた。

「そうみたいって……自分のことじゃないの?」

私は驚きと困惑を隠せず、問い返した。

「お父様が勝手に決めたことよ。」

そう言って、ルシアはつまらなさそうに肩をすくめた。

私は思わず言葉を詰まらせた。

エルバリー公爵――あの父が、ルシアにも政略結婚を強いていたということ。

自分だけが特別扱いされていたわけじゃなかった。

でも、相手は王子。

王族との婚約なら、ルシアにとってはむしろ誇らしいことのはず。

それなのに、なぜ彼女は知らない振りをし、まるで興味もないような態度をとるの?
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