家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「ありがとう、セドリック。」私は思わず彼の袖を掴んだ。

するとセドリックは、優しく微笑んで言った。

「いや、それが僕の務めだからね。」

そして自然に、私の腰に腕を回してくれた。その温もりが、胸の奥にじんと染み込んでくる。守られている。そう、今の私は、一人ではないのだ。

「だが……ルシア嬢は本当に、アルバート王子と結婚するのだろうか。」

ふと、セドリックが低く呟いた。

「それは……私にもわからないわ。でも、父は一度決めたら、それを貫く人だから……」

私が言い終える前に、セドリックは眉を寄せて言った。

「だとしたら、大変な事になるぞ。……あの方と遠縁になるなんて。」

――そうだ。もしルシアがアルバート王子と結婚したら、グレイバーン家と王族の間に、親族関係が生まれてしまう。

あの不気味な目つきと、しつこい執着心を思い出して、私はぞくっと背筋が凍る思いだった。
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