家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「心配よ。あの王子、何だか気味が悪いでしょう?」

私が正直な思いを口にすると、ルシアはぱっと顔をこちらに向けた。

「やっぱり?お姉様もあの王子、気味が悪いと思ってたのね?」

まさか、こんなにストレートな同意を求められるとは思わなかった。

「あ、ええ……でも、ルシアには惚れているみたいで……」

「そうなの。でも、私はあの王子のこと、好きじゃないのよ。」

さらりと、まるで天気の話でもするような口調だった。驚きすぎて、私は「そうなの……?」としか言えなかった。

「でね?」

ルシアは椅子から身を乗り出すようにして、私を見つめた。

「お姉様から、お父様にこの結婚、断ってほしいの!」

「えっ⁉」

あまりにも突飛なお願いに、思わず大きな声が出た。ルシアは真剣な顔をしていたが、まさか自分の婚約の破棄を、私に頼んでくるなんて――。

「どうして私が……?」

思わずそう問い返していた。
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