家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「今やお姉様は、社交界の花。お父様はお姉様を誇りに思っているわ。」

「えっ……」

あの父が?と、信じがたさに言葉を失った。あれほど「役に立たない」と蔑まれてきたのに、いつの間にそんなふうに思われていたのか。

「そのお姉様が言ってくれたら、お父様だってこの結婚、断ると思うのよ!」

そう言ってルシアは、ぐいっと前のめりになる。だが私の背中には、重たいものがずしりと乗ってきた。責任なのか、姉としての宿命なのか。

「私には……そんな力、ないと思う。」

私の口から自然とそう言葉がこぼれた。王子との婚約を断るなんて、そんな大それたこと、私にできるわけがない。

すると――

「……使えない女。」

小さく、でもはっきりと、ルシアがそう呟いた。

心に刺さるようなその一言に、私は目を伏せるしかなかった。

ああ、やっぱり。可愛い妹でいられるのも、都合のいい時だけなのね。
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