家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
その教えを信じて、私は自分を捧げるように政略結婚を受け入れたのに――今、その家が妹の愚行で、音を立てて崩れていく。

「私が……何のために……」

嗚咽混じりに漏れた言葉。

誇りを守るためだった。

家の名に泥を塗らぬようにと、懸命に努めてきたのに。

「泣くな、クラリス。」

セドリックの低く穏やかな声が、私の耳に届いた。

彼はそっと私の頬に触れ、溢れる涙を優しく拭ってくれた。

「君は家のために十分すぎるほど尽くした。もう、誰にも何も証明しなくていい。」

その言葉に、張り詰めていた心が少しずつほぐれていく。

私の努力を、誰かが見ていてくれた。

そう思えた瞬間だった。

「お願い、セドリック。せめて……両親が食べて行けるくらいのお金だけでも、渡してあげてほしいの。」
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