家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
声が震えるのを止められなかった。

あの家に、もう誇りも名誉もないのかもしれない。けれど――それでも、私を育ててくれた両親には、せめて人としての暮らしをしてほしかった。

セドリックは、しばらく何も言わずに私の顔を見つめていた。

まるで、私の気持ちの奥底まで見透かすように、静かなまなざしで。

そして、深く息をついた後、ゆっくりとうなずいた。

「そのつもりだ。だが、ルシアの結婚の為の費用をこうむるのは、いささか嫌気がする。」

セドリックの言葉には、静かな怒りがにじんでいた。

無理もない。

あれだけのことをしたルシアに、まだ結婚のための支度金を払おうという父の姿勢には、私自身も辟易していた。

「もちろんよ。そんなこと、私だって納得できないわ。」
< 157 / 300 >

この作品をシェア

pagetop