家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「君はもう、グレイバーン家の人間だ。あの家に、心をすり減らす必要はない。」

彼の手が、私の手をそっと包み込む。

私は頷き、彼の胸に顔をうずめた。

あたたかい。

「私、グレイバーン家の人になりたい。」

そう口にした瞬間、胸の奥から、熱いものがこみ上げた。

捨てきれない罪悪感と、それでも救われたかったという願い。

そのすべてが、言葉になった。

「もうなっているよ。」

セドリックの声は静かで、けれど力強かった。彼はそっと私の手を握りしめ、その手に唇を押しあてる。

「君は、グレイバーン伯爵夫人だ。このセドリック・グレイバーンの、ただ一人のね。」

私は目を見開いた。

そのまっすぐな瞳に、私という存在すべてが映っている。

過去の出自も、傷ついた心も、戸惑いや迷いも——それらをすべて抱きしめて、彼は今、私を「選んだ」のだ。

「ありがとう、セドリック……」

声にならない想いが涙となって頬を伝い、彼の胸元に落ちた。

私はもう迷わない。この手を、絶対に離さない。
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