家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
セドリックの瞳には、揺るぎない信念が宿っていた。

私はその強さに包まれ、再び彼の手を取り返した。

私の帰る場所は、もう決まっているのだと──心から、そう思えた。


屋敷に戻ると、私はまるで糸が切れたようにベッドに身を沈めた。心も体も、限界だった。

「クラリス、疲れたね。」

セドリックが静かに傍に腰かけ、優しく私の髪を撫でてくれる。そのぬくもりに、ようやく涙がこぼれた。

「セドリック。私、もう……あの家と関わるのは嫌。」

震える声でそう告げると、セドリックは、少しだけ間を置いてから答えた。

「そうだな。」

それだけだったけれど、その一言にすべてが込められていた。

私の気持ちを否定せず、責めもせず、ただ受け入れてくれる。私の味方であり続けるという、彼の確かな覚悟。







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