家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「何度も、手紙を送ったんです。王子との婚約破棄の後も、彼女を励ますように。」

「まあ……」

私は思わず感嘆の声を漏らした。

この方の言葉には、偽りがない。

ルシアへの愛は、きっと本物だ。

「すると、だんだん彼女からの返事が、温かいものになってきて。やっと、彼女の本当の気持ちが見えたような気がしたんです。」

カザリス伯爵の目は穏やかで、まるで遠くの希望を見つめているようだった。

「今だと思いました。お父上に婚約の意思があると、正式な通知を出したのです。」

その言葉に、胸がいっぱいになる。

なんて頼もしく、誠実な人なのだろう。

あのルシアがようやく、本当に愛してくれる人に出会えたのかもしれない。

そして――この人が、私とセドリックの親戚になるなんて。

ほんの少し前まで想像もできなかった未来が、優しく、温かく広がっている気がした。
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