家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「ははは。まあ、僕の一方的な想いが身を結んだだけですよ。」

その笑顔は、少し照れくさそうで、それでいて誇らしげだった。

「いいのよ。それだけでルシアは幸せになれるわ。」

私は自然と彼の手を握っていた。

もはや弟のような存在に思えて、心から応援したくなっていた。

「では、僕はもうこれで帰らなければならないので。」

「そうなの? お忙しいのね。」

「ええ。明日からも休み返上で働きます。」

……ん? 一瞬、胸に引っかかる言葉があった。

休み返上で働く――貴族であっても、それなりの公務や仕事があるのはわかる。

けれど、彼の言い方はまるで……庶民のような働き方の響きがあった。

「……お仕事って、どんなことをなさっているの?」

思わずそう問いかけてしまった。

ルシアがどんな相手と結婚するのか、やはり少し気になってしまったのだ。
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