家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
だが、ある日ふと立ち上がった瞬間、視界がぐらりと揺れた。

まるで血の気がすっと引いていくような感覚。

壁に手をついても、足元はおぼつかず、そのまま倒れ込みそうになる。

「クラリス!?」

駆け寄ってきたセドリックが、私をしっかりと抱きとめた。

「……ごめんなさい。なんでもないの。」

自分でも、もしかして何か重い病なのではと思ってしまう。

体の異変が日々の不安を膨らませていた。

「医者に見てもらおう。今すぐ呼ぶ。」

そう言って扉へ向かおうとするセドリックの背中に、私は慌てて手を伸ばした。

「待って、セドリック。いいの……」

私は彼の腕を掴んだ。優しく、けれど必死に。

「この辺りで医者にかかるには、莫大なお金がかかるでしょう?あなたにそんな負担をかけたくないの。」

私の言葉に、セドリックは驚いたように目を見開いた。
< 212 / 300 >

この作品をシェア

pagetop