家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「君が何よりも大切なんだ。お金なんて関係ない。」

それでも、私は彼の懐を思うと、素直に頷けなかった。だが彼は強く言った。

「僕の妻が苦しんでいるのに、何を惜しむというんだ。」

その言葉が胸に深く染みて、私は思わずセドリックに身を預けた。


そして日増しに痩せていく自分の体を、私ははっきりと感じていた。

頬はこけ、鏡に映る自分の顔は、まるで別人のようだった。

ベッドの中で横になったまま、私は静かに覚悟を決め始めていた。

このまま、やがて訪れるかもしれない死を——。

「セドリック……」

私は、ベッドサイドに椅子を引いて座っていた彼に、弱々しく手を差し伸べた。

「すまない、クラリス。……医者は、予約がいっぱいで、すぐには来られないそうだ。」
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