家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「精一杯めかし込んで行こう。」

「この前の舞踏会みたいに?」

私がそう言うと、セドリックは少し頬を緩めた。

「君のあのときの赤いドレス、とても綺麗だった。」

「……あれは、お腹が目立たなかったからよ。」

私たちはまた顔を見合わせて、くすくすと笑った。

「ドレスは……お腹に合わせて直さないと。」

「新調すればいいじゃないか。」

「ええっ?またお金かかるわよ。」

私は慌てて言ったけれど、セドリックは少しも気にしていない様子で、あっさりと笑う。

「いいさ。どうせ二人目、三人目の時も着るのだし。」

「そんなに産む気なの?」

「僕は大家族が夢なんだ。」

彼の優しい声に、思わず胸があたたかくなった。

新しい命を迎える準備も、こうして少しずつ進んでいる。

きっとこの晩さん会も、私たちにとって忘れられない思い出になる。
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